<アセスの説明> アセスで測定しているのは,「適応」ではなく「適応感」です。この両者はどのような関係にあるのかということから説明を始めましょう。 まず適応とは,個人と環境との相互作用や関係を表す概念で,「個人と環境の調和」として定義づけられます。『広辞苑』第5版では,「その状況によくかなうこと。ふさわしいこと。あてはまること」と書かれています。一方,適応感は「個人と環境との主観的な関係」のことで,個人の適応の一指標です。「適応感が低い」ことは,わかりやすく言えば,本人がSOS を発信しているということです。 この意味では,個人の主観である適応感は,適応と一致しないこともありえます。たとえば,ある課題をもった児童に対して,クラスメートは善意でいろいろと世話を焼いたりアドバイスをしたりしていても,本人がそれを「僕をバカにしている」と受け取っている場合,「適応感」は低くなります。逆にクラスメートがからかって「さすがだね~」と皮肉を言っているのに,それを真に受けている児童の「適応感」は高くなるでしょう。また,前者の場合,教師の観察では「問題なし」となるかもしれませんが,本人はSOS の状態にあるかもしれません。後者の場合は,教師の観察では「問題あり」ですが,本人は苦痛を感じていません。 このように考えると,子どもを支援する際には,教師の観察や客観的なデータから得られる指標に加えて,「本人が感じているSOS の度合い」を十分に考慮する必要があります。人は膝ぐらいの深さしかないところで溺れることがあると言います。危機とは,客観的な観点と主観的な観点を統合して理解すべきなのです。 SOS の度合いを測り,教職員の観察やその他のデータと照らし合わせることで,より的確な支援を構築していくことが可能となる。
アセスは、次の6つの側面から学校適応感をとらえています。 ① 生活満足感…生活全体に対して満足や楽しさを感じている程度で,総合的な適応感を示します。 ② 教師サポート…担任(教師)の支援があるとか,認められているなど,担任(教師)との関係が良好であると感じている程度を示します。 ③ 友人サポート…友だちからの支援があるとか,認められているなど,友人関係が良好だと感じている程度を示します。 ④ 向社会的スキル…友だちへの援助や友だちとの関係をつくるスキルをもっていると感じている程度を示します。 ⑤ 非侵害的関係…無視やいじわるなど,拒否的・否定的な友だち関係がないと感じている程度を示します。 ⑥ 学習的適応…学習の方法もわかり,意欲も高いなど,学習が良好だと感じている程度を示します。